
名前 バオバブ 別名 レモネードツリー 出身地 マダガスカル島 樹齢 1000年以上 高さ 45m 直径 15m 貯水量 数トン 花の色 夜咲の白い花・昼咲の赤い花

子どもの頃に読んだことがあるかもしれません。 サン=テグジュペリの『星の王子さま』。 この物語の中で 、バオバブの木はヴィランのように描かれています。 「小さな種が教会級の大きさになり、星中にはびこって、やがて星を壊してしまう。」 そんなおそろしい存在として登場するのです。 悪いものは小さいうちに退治しなければならない。 大きくなってからでは手に負えなくなるから――。 これは、私たち大人、子どもたちの心を守るための教訓。 だからこそ、バオバブの木は“ヴィランを演じる役者”になったのです。

けれど、本当のバオバブは、とても静かで、あたたかい存在です。 バオバブの木は、アフリカやマダガスカルの乾いた大地に立っています。 まるで空から逆さに植えられたような、不思議な姿。 大きな幹の中には、雨のない季節に備えて、水がたっぷりとたくわえられています。 ときには、何千リットルも。 葉がすべて落ちて、なにもないように見えても、 静かに、静かに、次の芽吹きを待っている。 まるで「時間をためる木」のように。 マダガスカルでは、バオバブは特別な木。 “精霊が宿る”と信じられたり、祈りの場になったりすることもあります。 民族によってはその名の響きも異なり、大切にされ続けてきました。 ひっそりとそこにいて、何も言わずに、誰かを助ける。 それが、バオバブの木のほんとうの姿です。

バオバブの実を見たことはありますか? コロコロと丸くて、中には白いパウダーのような果肉が入っています。 ちょっぴりすっぱくて、ほんのり甘い。 水にとくと、まるで自然のレモネードみたいな味になります。 ビタミンやミネラルもたっぷりで、 マダガスカルではジュースやお菓子にして楽しまれたり、 “祈りの飲みもの”として使われることもあります。 この木がくれるのは、栄養だけじゃありません。 自然といっしょに生きる知恵や、ゆっくりと流れる時間の味わいも。 口にふくむと、どこか遠くの風景が思い浮かぶような―― そんなレモネードを、バオバブはそっとくれるのです。

バオバブの木を、見上げたことはありますか? まるで大きな時計みたいに、 ずっと昔から、ここに立っている木です。 雨が降らない長い季節も、 嵐が吹きぬける夜も、 バオバブは何も言わずに、そこにいます。 時間をためて、 水をためて、 それをそっと、次の命にゆずっていく。 それはまるで、 「地球からの手紙」みたいだなって思うのです。 すぐには読めないけれど、 ちゃんと届くように、未来へと運ばれていく手紙。 だからね、 これからの地球を生きていく子どもたちにこそ、 バオバブの木を見てほしいのです。 静かに、しっかりと、 生きるっていうことの“根っこ”が、そこにあるから。


